本文へスキップ
集客・マーケティング

AIっぽい広告は成果が落ちるのか|差が出たのは作り方より見え方

文・編集:ワークデイズ合同会社


「このバナー、AIっぽいので直してもらえませんか」。広告を作って運用していると、よく受ける依頼です。

私たちは、AIっぽいかどうかは好き嫌いの話で、成果には関係ないと考えていました。論文と大規模な検証を調べると、この考えはいちばん大事なところで違っていました。見た人が「AIっぽい」と感じた広告ほど、クリック率や「買いたい」が低い傾向がありました。一方で、実際にAIで作ったかどうかでは、平均すると差は出ていません。

この記事では、研究と私たちの現場の実例から、何を直し、何を比べて決めるかを書きます。

「AIで作った」と「AIっぽく見える」は別の話

まず言葉を分けます。この区別が、この記事の土台です。

  • 作り方=実際にAIで作ったかどうか。
  • 見え方=見た人が「AIで作ったっぽい」と感じたかどうか。

この2つは一致しません。AIで作っても人が撮ったように見えるものはありますし、人が撮った写真がAIっぽいと言われることもあります。

「AIっぽいので直して」は、見え方の話です。ところが、世の中の調査の多くは作り方(AIで作った広告と人が作った広告の比較)か、「AIで作りました」と表示したときの反応を測っています。

たとえば、AIが作った広告の商品について「AI広告だと信頼しにくい」を選んだ人が38.0%いた、という調査があります(あるるモール・20〜50代の250人・2026年1月発表)。ただ、これは本人の回答で、クリックや購入を測ったものではありません。聞いているのも、AIが作った広告についてです。どれを測った話なのかを分けないと、結論が混ざります。

AIで作ったかどうかでは、成果は決まっていなかった

規模の大きい実証に、米国の Taboola(ニュースサイトなどで記事の下に出る「ネイティブ広告」の配信会社)のデータを使った研究があります。ミュンヘン工科大学・コロンビア大学・ハーバード大学の研究者による、2025年1月版のワーキングペーパー(査読前の論文)です。

2023年6〜8月に配信された英語の広告から、同じ広告主が、同じキャンペーン・同じ日・同じリンク先で、AIで作った画像と人が作った画像を並べて出していた組を集めて比べています(1,186組・4,633本)。条件をそろえた比較です。

結果、AIで作った画像と人が作った画像で、平均するとクリック率に統計的な差はありませんでした。クリック率は、広告が表示された回数のうちクリックされた割合です。購入を目的にした広告では、クリックした人が購入に至った割合(CVR)にも差はありませんでした。規模が小さく経験の浅い広告主ほど、AIで作った画像を使う恩恵が相対的に大きかった、という結果も出ています。

日本の調査も、近い結果です。ビデオリサーチが2025年12月に行った調査(全国の15〜69歳・2,593人)では、実写の広告と、同じ写真を生成AIで作り直した広告を、1人に1枚だけ見せて「買いたい・使いたい」を7段階で聞いています。作り方で分けると、差は−0.02〜+0.26点で、向きもそろっていません(同社の図の数字から私たちが計算した値です)。

私たちの現場では、AIで作ったもののほうがCPA(1件の問い合わせや購入を得るのにかかった広告費)が低かった例もあります。

  • ある健康関連の商品の動画広告で、お客様が日常で困る場面を、生成AIで極端に大げさに作ったことがあります。実写の動画と比べて、この動画のほうがCPAが低くなりました。
  • ナレーションも、生成AIの声と、実際のナレーターの声の両方で配信して比べています。これまでは、ほとんどの比較でAIのナレーションのほうがCPAが低い、というのが私たちの実感です。

ただし、AIに任せきりにした広告は弱い、という結果もあります。調査会社の Ipsos とシラキュース大学の2026年の調査(米国の消費者3,000人)は、実際に流れた30秒の広告10本と、それぞれの広告の狙いをAIに読み取らせてAIだけで作り直した広告10本を比べました(AI側は、人による仕上げの手直しをしていません)。Ipsos の効果の予測値では、人の広告のほうが短期で14%、長期で17%強い結果でした。報告書は、AIの広告が感情に訴える力で一貫して劣ったと書いています。

一方で、強かったAIの広告もありました。報告書はその理由を、伝え方が単純だった(はっきりした悩み、はっきりした解決策、信じる理由がそろっていた)からだと説明しています。

差が出たのは、広告が「AIっぽく見えたかどうか」だった

Taboola の研究は、もう一歩踏み込んでいます。広告の画像1枚ごとに、5人が「人が作ったか、AIが作ったか」を5段階で答え、その「AIっぽさ」とクリック率の関係を調べました。答えたのは広告を実際に見た人ではなく、研究のために集めた第三者です。

広告画像のクリック率(単純平均)を、作り方(AIで作った・人が作った)と見え方(AIっぽく見えない・AIっぽく見える)の4つに分けて比べた図。AIで作ってAIっぽく見えない画像が0.79%でいちばん高く、AIで作ってAIっぽく見える画像は0.62%。人が作った画像は、AIっぽく見えないものが0.67%、AIっぽく見えるものが0.55%(人が作った画像の差は統計的には確かめられていない)。出典は米国の配信会社 Taboola の2023年の英語の広告のデータを使ったワーキングペーパー。

AIで作った画像のうち、AIっぽく見えなかったものはクリック率0.79%で4つの中でいちばん高く、AIっぽく見えたものは0.62%でした。作り方が同じでも、見え方で差が出ています。

表示1万回あたりで数えると、クリックは79回と62回です。購入率が同じなら、同じ表示回数から生まれる問い合わせや購入も、約2割少なくなります(統計的な調整をする前の平均で計算した値です)。

人が作った画像も、AIっぽく見えたもの(0.55%)は、見えなかったもの(0.67%)より低い数字でした。ただし、人が作った画像のほうの差は、統計的には確かめられていません。はっきり下がったのは、AIで作った画像がAIっぽく見えた場合です。

なお、図の数字は条件をそろえる前の単純な平均です。同じ広告主・同じキャンペーンの中で比べると、作り方による差は、平均すると統計的に確かめられていません。ただし論文は、AIっぽく見えない、AIで作った画像は人が作った画像よりクリック率が高く、AIっぽく見えるとその差が消えた、と結論づけています。作り方の差も、見え方しだいでした。

ビデオリサーチの調査も、同じ向きです。広告を見せて評価を聞いたあとで「実写の広告とAIの広告が混ざっていた」と伝え、自分が見た広告はどちらだと思ったかを聞いています。

ビデオリサーチの調査で、広告を見た人が「実写だ」と思ったか「AIだ」と思ったかで、「買いたい・使いたい」(7段階の平均)を比べた図。実写の広告とAIで作り直した広告の両方、ファストフード・ミネラルウォーター・旅行の6つの組み合わせのすべてで、AIだと思った人のほうが0.3〜0.8点低い。

6つの組み合わせのすべてで、「AIだと思った」人のほうが「買いたい・使いたい」が低くなっています。差は7段階で0.3〜0.8点で、作り方で分けたときの差(−0.02〜+0.26点、向きもそろっていない)より、はっきりしています。

ここには注意が3つあります。

1つ目は、因果の向きです。この調査は、AIかどうかを評価のあとに聞いています。「AIだと思ったから評価が下がった」のか、「気に入らなかったからAIだと答えた」のかは、この設計では決められません。

2つ目は、成果の指標です。Taboola の研究で差が出たのはクリック率で、購入率(CVR)には差が出ていません。それでも、先に計算したとおり、クリック率が下がれば同じ購入率でも問い合わせや購入は減ります。成果をどこで数えるかは、広告のCVと実際の受注数が合わないに書きました。

3つ目は、根拠の量と出どころです。どちらも研究は1本ずつで、Taboola のデータは2023年夏、画像生成AIも当時のもの(Stable Diffusion 2)です。研究者は、新しい画像生成AIで作り直すとAIっぽさの評価は下がったものの、AIっぽく見えるものと見えないもののばらつきは残った、と書いています。ビデオリサーチの図に載っている回答者は計1,282人で、調査全体の2,593人との差は、同社の記事に説明がありません。また、データを提供した Taboola は研究で使われた画像生成ツールの提供元で、ビデオリサーチと Ipsos は広告の調査を販売する会社です。

「AIっぽい」という判断は、人によってぶれる

ここで「AIっぽいので直して」に戻ります。その判断は、どのくらい当てになるのでしょうか。

ビデオリサーチの調査では、実写の広告を見せたのに「AIで作った」と答えた人が、かなりの割合でいました。

ビデオリサーチの調査で、自分が見た広告を「AIで作った」と答えた人の割合を比べた図。実写の広告でも、ファストフード60.5%・ミネラルウォーター45.8%・旅行71.4%が「AIで作った」と答えた。ファストフードと旅行では、AIで作り直した広告(62.7%・72.8%)とほぼ同じで、ミネラルウォーターはAIで作り直した広告(56.1%)と10ポイントほどの差だった。

ファストフードと旅行では、実写とAIで「AIで作った」と答えた割合がほとんど変わりません。ミネラルウォーターでも、実写の広告を見た人の半分近くが「AIで作った」と答えています。見分けられていないということです。

ほかの研究も同じです。Taboola の研究では、人が作った広告画像の24.87%が「たぶんAI」「確実にAI」と判定され、AIで作った画像の58.92%は「分からない」から「人が作った」の側に判定されていました。Ipsos の調査では、AIの広告を見た人のうち、AIで作ったとある程度確信したのは25%でした。

広告の専門家でも、どの広告が当たるかを直感で当てるのは難しいとされています。マーケターにテレビ広告の売上効果を予想させた研究では、当たる割合は偶然と変わりませんでした(Hartnett ほか、2016年。論文の要旨による)。

広告主がAIっぽいと感じても、見る人の多くがそう感じるとは限りません。1人の好き嫌いで直すかどうかを決めると、成果に効かない修正に時間を使うことになりかねません。この点は、私たちの仮説のとおりでした。

ただし、Taboola の研究では、5人の評価を平均した「AIっぽさ」が、クリック率と関係していました。1人の感覚では決められないからこそ、配信して確かめます。

AIっぽく見せている手がかり

では、見る人は何を手がかりに「AIっぽい」と感じるのでしょうか。研究で挙がっているものを並べます。

手がかりどう働くか出典
色が濃い(強い彩度・暖色)AIっぽく見られやすいTaboola の研究
画像の中に文字があるAIっぽく見られやすい(AIは文字を崩しがち)Taboola の研究
蝋や樹脂のようになめらかな肌、撮影中のモデルのように完璧な人物AIらしい不自然さとして見抜かれるKamali ほか(CHI 2025)
映画や絵はがきのような、演出の強い画同上Kamali ほか(CHI 2025)
理由は言えないが、なんとなくおかしい(全体的な違和感)AIの広告を見分けた人が挙げた理由の最多(約4割)ビデオリサーチ

逆に、人が作ったように見られやすい見せ方(画づくり)もあります。大きめの顔が写っている画像と、美しさの評価値(研究者が画像の特徴として測った値)が高い画像です(Taboola の研究)。

並べてみると、AIっぽく見えるかどうかを分ける手がかりの多くは、見せ方(色・肌の質感・文字・光・顔の大きさなどの画づくり)の要素です。AIっぽさは、作り方の問題というより、見せ方の問題です。

私たちにも経験があります。美容医療のクリニックのバナーを生成AIで作り、医師の写真とロゴは元の素材をそのまま差し込みました。それでも、AIっぽいと言われました。私たちが見る限り、人物とロゴが本物でも、全体の柔らかい光や、ぼかした装飾といった仕上げは、表の手がかりに近いものでした。

このときは、AIを使ったまま、AIっぽく見えない版に作り直して配信しました。AIっぽい版は配信していないので、そのままだったらCPAがどうなっていたかは分かりません。そもそも直してよかったのかは、疑問のままです。

ここで、私たちの現場の実感と研究のずれにも触れておきます。私たちの案件では、AIっぽい誇張した表現のほうが成果が出ることも多くあります。先に挙げた動画も、その1つです。一方、Taboola の研究では、AIっぽく見えるほどクリック率は下がっていました。

研究が比べたのは、同じ広告主・同じキャンペーンの中で並んで配信された画像どうしで、測ったのはクリック率です。私たちが比べたのは、AIで作った動画と実写の動画のCPAで、違いはAIっぽく見えるかどうかだけとは限りません。何がCPAの差を生んだのかは分けられないので、研究と逆に見えても、そのままは比べられません。

「AIっぽいので直して」と言われたら、3つに分ける

ここまでをふまえて、私たちは「AIっぽい」と言われた点を、次の3つに分けて判断するのがよいと考えています。研究と私たちの運用から組み立てた考え方です。

「AIっぽいので直して」と言われた点を3つに分ける図。①破綻(文字やロゴの崩れ、顔が別人、実物と違う)は直す。②AIっぽく見える手がかり(色の濃さ、つるつるの肌、画像の中の文字、演出の強い画)は、直した版と並べて比べて決める。③好み(色・書体・雰囲気)は、ブランドの決まりとして扱う。

①の破綻は、議論の余地なく直します。成果を比べる前に、誤りです。私たちは、ロゴや人物は生成させず、元の素材をそのまま差し込んでいます。生成させると、別のものになってしまうからです。

②は、研究で成果との関係が出ている部分です。ただ、効く向きも大きさも、商品や媒体で変わりえます。だから、好き嫌いで決めずに、直した版と直さない版を同じ条件で配信して比べます。直した版では、手がかりを1つずつ減らします。たとえば、色の彩度を落とす、人物は実在の人の写真を大きめに使う、肌や光を撮影した写真に近づける、といったことです。比べるときは、クリック率だけでなく、問い合わせや購入(CV)の数とCPAまで見て決めます。

③の好みは、成果の話と混ぜないことです。ブランドとして守りたい色や雰囲気があるなら、それは正当な理由です。その場合は、今回の1枚の修正で終わらせず、ブランドの決まりとして言葉にしておくと、次から迷いません。

明日からできること

広告を頼む側でも、作る側でも、やることは同じです。

  1. 「AIっぽい」と感じたら、どこがそう見えるかを1つ指す。「全体的に」でも、色なのか、人物なのか、文字なのかまで言葉にします。
  2. それを3つに分ける。破綻か、AIっぽく見える手がかりか、好みか。
  3. 破綻は、その日のうちに直す。ロゴや人物は、元の素材に差し替えます。
  4. 手がかりは、直した版と並べて配信する。クリック率だけで決めず、CVの数とCPAまで見ます。
  5. 好みは、ブランドの決まりとして書き出す。次の制作から、最初に渡します。

動画広告の例ですが、比べた結果から、なぜその版が勝ったのかまで読み解く進め方は、広告クリエイティブをAIで分析するに書きました。

まとめ

最初の仮説と、調べた結果を並べます。

私たちの仮説調べた結果
「AIっぽい」は主観で、人によってぶれる一部合っていた。実写の広告でも45.8〜71.4%が「AIで作った」と答え、1人の感覚は当てにならない。ただし、何人もの評価を平均したAIっぽさは、クリック率と関係していた
AIっぽく見えても、成果には影響しない違っていた。AIっぽく見えるほど、クリック率や「買いたい」が低い傾向が出ている
成果を決めるのは、仮説・訴求・見せ方矛盾はしなかった(直接確かめた研究は無い)。AIっぽさの手がかりの多くが、色・肌の質感・文字といった見せ方の要素だった

仮説の外では、実際にAIで作ったかどうか(作り方)だけでは、成果にほとんど差が出ていないことも分かりました。ただし、人が仕上げに手を入れずAIに任せきりにした広告は弱い結果でした。

いちばん大事な2つ目の仮説が、違っていました。だから「AIっぽいので直して」と言われたら、好き嫌いで議論しないことです。破綻は直し、手がかりは比べて決め、好みはブランドの決まりにする。決めるのは、見る人の反応です。

CONTACT

同じような課題、ありませんか?

広告アカウントとアクセス解析を全件精査するWebマーケティングのAI分析を、月3社まで無料で受け付けています。

24時間365日 ご相談受付・月3万円〜

無料で相談する

24時間365日 受付・月3万円〜